リベラルアーツの大学
歴史的にアメリカの大学教育は、「全人教育」、「教養教育」を目指すことから始まりました。これがリベラルアーツです。もともと大学は、リーダーを育成するための高等教育と考えられていたため、リーダーに必要な資質である「分析力」、「判断力」、「決断力」を徹底的に鍛えるカリキュラムが確立されています。
歴代の大統領をはじめ、中産階級以上の良家の子女が社会の中核を担うべく、高校を卒業した後に学ぶ場所がリベラルアーツの大学というわけです。リベラルアーツの大学で学ぶ科目の基本は「サイエンス&アート」になります。一般的には語学(英語、スペイン語をはじめとする第二外国語)、文学、歴史、科学、数学、音楽、芸術、経済学、心理学、生物、社会学、コンピュータなどが中心です。
またリベラルアーツの大学はほとんど私立大学です。もともとアメリカは私立大学が主流の国で、ハーバード大学にしろエール大学にしろ、アメリカ大学ランキングの上位は私立大学で埋め尽くされています。
リーダーシップを育てるためには、先生の講義を聞くだけではなく、教授や生徒と活発に議論をする過程が重要ですので、必然的に少人数制の教育になります。一般的にリベラルアーツの大学では1クラスの生徒は15人前後です。
日本人が留学する場合、文化の違いや英語のハンディがあるため、ほぼ例外なくカルチャーショックで自信を喪失しそうになります。その場合でも、リベラルアーツの大学はきめ細やかに学生をフォローするため、何とか壁を乗り越えられるケースが多いようです。また、大都市ではなく郊外に広大なキャンパスを構える大学が多く治安が良いため、日本人のアメリカ留学にはリベラルアーツの大学が適していると考えられます。
リベラルアーツの大学にも専門課程の科目はありますので、4年間をリベラルアーツの大学で勉強して卒業する人はたくさんいます。そして卒業後に専門科目を極めるため大学院に進学するケースも一般的です。このリベラルアーツの大学に医学や教育学、建築学、経営学などの実学を学部として加えていったものが総合大学といえます。